わたしを見つめる12のまなざし
第1回:セルフイメージ——“わたしって、どんな人?”
「自分って、どんな人だと思う?」
こんな質問、みなさんは最近されたことがありますか?
たとえば面接で、たとえば子どもに突然聞かれて、あるいは何気ない会話の中で。
答えに詰まったり、いつも同じフレーズで返してしまったり。
「私ってこういう人だから」と、なんとなく口にしているその言葉の裏にあるのが、「セルフイメージ」です。
■ 自分で決めた“わたしらしさ”?
「私は飽きっぽい性格でね」
「昔から人に頼るのが苦手なんです」
「どちらかというと地味なタイプです」
こうした言葉は、謙遜や謙虚さの一部にも見えるけれど、実は私たちの行動を静かに制限していることもあります。
もちろん、「私は明るい性格です」「人と話すのが好き」というポジティブなセルフイメージもあるでしょう。
けれど、どちらにしても、それは本当の“自分の本質”というよりも、日々の経験や周囲の反応から、自分が「そういうことにしている」像なのかもしれません。
たとえば学生時代に「真面目だね」と言われてきた人は、大人になっても「ちゃんとしなきゃ」と思いやすかったり。
逆に「ドジだね」と言われ続けた人は、「どうせ私ってそういうキャラだし」と、あきらめを混ぜながら笑っていたり。
でも、それって本当に自分が心からそう思っていることでしょうか?
■ 日常のなかで形づくられる「自分像」
セルフイメージは、何も特別な体験からだけ生まれるわけではありません。
たとえば、朝起きられなかった日の「あ〜私ってだらしないな」
誰かにうまく気持ちが伝わらなかった日の「やっぱり人間関係が苦手」
SNSで人の投稿を見て感じる「自分にはあんなふうにできないな」
そんな日々の小さなつぶやきの積み重ねが、自分自身のイメージをじわじわと形づくっていきます。
そして怖いのは、それがだんだんと「事実」のように感じられてしまうこと。
でも実際には、それは“思い込み”にすぎないことも多いのです。
■ カウンセリングでよくある会話
カウンセリングの中で、「私って昔からこうなんです」と語る人がいます。
でも少しずつ話をしていくうちに、「あれ、そうでもなかったかも…」と気づく場面に出会うことがあります。
たとえば「いつもネガティブな自分が嫌なんです」と言っていた方が、話の中で実はとても慎重で、他人の気持ちをよく考えられる人だったり。
「人に甘えられない」と言っていた方が、実は過去に人に裏切られて傷ついた経験をしていたり。
“今の自分”の奥には、過去の経験や感情が静かに息をひそめていることがあるのです。
カウンセリングでは、それを一緒にほどいていくように見ていきます。
自分の中にある声に耳を傾けることで、「ああ、自分ってこんなふうに思っていたんだな」と気づく瞬間が生まれるのです。
■ セルフイメージは、書き換えられる
「私はこういう人間だから」と言いたくなるとき、ふと思い出してほしいことがあります。
それは、セルフイメージはいつだって書き換えられるということ。
大人になったら変われない?
そんなことはありません。
年齢を重ねるほど、自分を優しく見つめ直せる目を持てるようにもなります。
・今日できた小さなことを「えらい」と思ってみる
・誰かに言われた言葉ではなく、「本当はこう思っていた」を大事にしてみる
・「無理」と思う前に、「やってみたい」と声に出してみる
そうした小さな選択が、今までのセルフイメージを少しずつゆるめ、新しい可能性を開いていきます。
人生のなかで、自分自身と向き合う場面は何度でもやってきます。
仕事の転機、子育て、老いや病気、ふとした孤独。
どの世代にも、どんな環境にも、「私は誰?」という問いがそっと訪れる瞬間がある。
そのたびに、自分にこう言ってあげてください。
「わたしは、わたしを、まだ途中で描いている。」
今日のあなたが、明日のみなさんをつくります。
どうか、今ここにいる自分にやさしいまなざしを向けてあげてくださいね。
https://select-type.com/rsv/?id=tPmjurDQByE
https://note.com/kana872/n/n72667a43d50a
https://note.com/kana872/m/mdaaed40b78fd
https://note.com/kana872/m/m713af714d313