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耳を傾けるということ。vol.2

「沈黙」と向き合うということ

カウンセリングの現場において、言葉はもちろん重要ですが、それと同じくらい大切にしているのが「沈黙」です。
沈黙と聞くと、多くの人が少し不安な気持ちになるかもしれません。
「何も言わない時間は、気まずい」と感じることもあるでしょう。
ですが、カウンセリングにおける沈黙は、単なる「無言の時間」ではありません。
それは、クライアントの方に深く自分を見つめてもらい、心の声に耳を傾けるための貴重な瞬間なのです。

現代社会では、私たちは常に何かを話し、答えを出し、行動に移さなければならないというプレッシャーにさらされています。
職場でも家庭でも、会話の中で「答えを出すこと」「すぐに反応すること」が求められることが多いです。
このような環境に長くいると、沈黙に対して耐性がなくなり、「沈黙=不安」「沈黙=問題がある」と感じがちです。

ですが、実は沈黙こそが、私たちが本当に心を通わせるために欠かせない時間であることが多いのです。
カウンセラーとしての私たちは、話を聞くこと以上に、相手の沈黙を受け入れ、尊重することに力を入れています。
なぜなら、沈黙の中には「言葉では表せない本当の思い」や、「自分でも気づいていない感情」が隠れていることがあるからです。

例えば、誰かが何かを話すとき、その言葉の裏にある深い感情や、未だ言葉にできていない思いが見え隠れすることがあります。
その瞬間、カウンセラーは無理にその言葉を引き出すのではなく、その人が言葉にできるようになるための「静かなスペース」を提供するのです。
沈黙が生まれたとき、それは新たな気づきが生まれる瞬間なのです。

歳を重ねていくと、多くの人が過去を振り返り、未来に対する不安を感じることが増えます。
家庭や仕事での役割、社会的な立場の変化に戸惑いを感じることも少なくありません。
その中で、「私は本当に何をしたいのか」「何を求めているのか」など、自分自身を見つめ直す時間が必要になることがあります。
しかし、このような問いに答えるには、言葉を急いで出す必要はありません。
時には、何も言わずにいることが、自分と向き合わせる大切な時間になります。

カウンセリングの現場では、その沈黙がどんな意味を持っているのかを、私たちは注意深く見守ります。
その沈黙の中で、人は自分の本当の気持ちや深層に触れることができるからです。
心の中の言葉にならない感情が、少しずつ顔を出し、それを言葉にする準備が整うまで、私たちは待ちます。
沈黙は、まるで心が静かに整理されるような時間であり、その後に自然と本当の自分の声が現れる瞬間が訪れます。

しかし、沈黙を恐れず、むしろ受け入れることが難しいという方も多いかもしれません。
特に日々忙しく、他人の期待に応え続けてきた方にとって、沈黙は恐怖や不安を引き起こすこともあります。
「何か言わなければならない」という焦りや、「私の話に興味を持ってもらえていないのでは?」という疑念が湧いてくることもあるでしょう。

そのとき、思い出してほしいのです。沈黙は決して無駄ではないということ。
沈黙の中で、私たちは自分自身をより深く理解し、整理することができるのです。
沈黙は時に「答えを出すこと」ではなく、「自分を感じること」のプロセスです。
それを経験した後には、自分が本当に伝えたかったこと、伝えるべきことが見えてくることが多いのです。

だからこそ、日常の中でも、意識的に沈黙の時間を持つことをお勧めします。
忙しい日々の中で、ちょっとした休息の瞬間を作り、その時間を自分と向き合わせる時間にしてみてください。
例えば、何も考えずに静かな空間で目を閉じてみること。
または、自分の心の中で、今自分が感じていることをただ感じてみること。
そんな沈黙の時間が、心に深い安らぎをもたらし、新たな気づきをもたらしてくれることがあるでしょう。

沈黙は、恐れるべきものではありません。
むしろ、心が本当の自分と出会うための大切な時間なのです。
この時間を通じて、私たちは無意識のうちに思考を整理し、感情を解放し、新たな答えに出会うことができるのです。

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https://note.com/kana872/n/n72667a43d50a

https://note.com/kana872/m/mdaaed40b78fd

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